キング牧師の功績を振り返る:1月20日マーチンルーサーキング.Jrの日とは?

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1月20日は祝日「マーチンルーサーキング.Jrの日」です。
アメリカにいるならば、ぜひ理解しておいたほうが良い祝日なので、今回、紹介します。

人種差別

1863年1月1日にエイブラハム・リンカーン大統領によって行われた奴隷解放宣言により、アメリカでの奴隷制は廃止されました。
その後、人種差別主義立法ができるなどしましたが、実生活での人種差別の撤廃は行われていませんでした。
南部の多くの州ではAfrican American(黒人)が一般公共施設の利用を禁止制限したジム・クロウ法といわれる法律が制定されており、学校やトイレ、プールやバスなどの公共機関・公共交通においてCaucasian(白人)と非白人が異なる施設を用いることは容認されたままだったのです。

このThe Americansという写真集は、1958年にフランスで最初に出版され、1959年にアメリカで出版されたもので、人種差別、上流階級の娯楽する姿、ブルーカラーの人の仕事風景など、いわゆる”昔のアメリカ”の日常が写真で表現されています。
表紙の写真はバスの様子を撮影したもので、Caucasian(白人)がバスの前方大半、African American(黒人)がバスの後方1-2列だけに座っているのが分かります。

人種差別だけでなく、上流・下流階級の生活、なども掲載されており、昔のアメリカを生々しく感じることができます。

マーチンルーサーキング. Jrとは?

マーティン・ルーサー・キング. Jrとは、アメリカの牧師です。キング牧師とも呼ばれており、この呼び名のほうが有名かもしれません。
彼はアメリカ南東部のジョージア州で生まれました。
彼の父親も牧師であり、African American(黒人)の一家です。
高校時代にバスの中でCaucasian(白人)から席を譲れと強制され、激しく怒ったことが、後述する有名なバス・ボイコット事件につながっていきます。

バス・ボイコット事件

キングは1954年にアラバマ州モンゴメリーで牧師として働き始めました。
しかし、1955年12月に同地区モンゴメリーのバス内で、ローザ・パークスというAfrican American(黒人)がCaucasian(白人)に席を譲らなかったことから逮捕されたという事件に対して激しく抗議をし、人種差別をなくすためにAfrican American(黒人)がバスの乗車拒否によって差別を訴えるバスボイコット運動を行いました。
この運動の結果、1956年11月に連邦最高裁判所からバス車内人種分離法違憲判決を勝ち取り、運動は成功を収めました。
この運動は一般の民衆が参加した初めての運動でもあり、公民権運動自体がアメリカ全土に広まったきっかけにもなりました。同時にキングは公民権運動のリーダーとして有名になりました。

その後、1960年2月には、ノースカロライナ州においてキングの影響を受けた学生たちが、差別的な扱いに抗議して座り込みを開始したものが各都市に広がったり、1963年バーミングハムで解放運動が開始されるなど、公民権運動、主に人種差別的の扱いに対して確実に全国に広がりをみせました。

「I Have a Dream」

アメリカ全国各地で公民権運動が盛り上がりを見せる中、キングらは首都ワシントンで奴隷解放宣言100年を記念する大集会を行いました。1963年8月28日に行われ、参加者が20万人を超える大規模なものでした。
この集会においてキングは、“I Have a Dream”という有名な演説を行い、人種差別の撤廃と人種の協和という理想を訴え、広く聴衆の共感を得ました。

そして、キングを先頭に行われた運動の結果、1964年7月2日に公民権法が制定され、建国から200年近く施行されてきた法の上における人種差別が終わりを告げました。さらにその後、キングの公民権運動に対する貢献が評価され、1964年度ノーベル平和賞が授与されました。

黒人解放運動の分裂

しかし、黒人解放運動は幾つかのグループへ内部分裂を起こし、キングのグループは徐々に時代遅れとみなされ、グループの力が弱くなっていきました。
生前のマルコムXをはじめとする過激派や極端派などが作られ、ブラックパンサー党が結成されたり、1967年にニュージャージー州で大規模な黒人暴動が起こるなどしました。

そして、キングは1968年に白人男性により暗殺され、帰らぬ人となりました。まだ39歳という若さでした。なお、暗殺理由は不明のままです。

暗殺の前日に行った最後の演説は、とても美しく、切ないものでした。

…前途に困難な日々が待っています。
でも、もうどうでもよいのです。
私は山の頂上に登ってきたのだから。
皆さんと同じように、私も長生きがしたい。
長生きをするのも悪くないが、今の私にはどうでもいいのです。
神の意志を実現したいだけです。
神は私が山に登るのを許され、
私は頂上から約束の地を見たのです。
私は皆さんと一緒に行けないかもしれないが、
ひとつの民として私たちはきっと約束の地に到達するでしょう。
今夜、私は幸せです。心配も恐れも何もない。
神の再臨の栄光をこの目でみたのですから。

暗殺後、多くの都市でアフリカ系アメリカ人による暴動が起きましたが、葬儀が行われるとアフリカ系アメリカ人だけではなく、多くのアメリカ人が葬儀に参列しその死を悼みました。

そして、彼の栄誉を称え、1986年より彼の誕生日に近い毎年1月第3月曜日をMartin Luther King Jr. Dayとして祝日としました。また国内の多くの大都市に「マーチン・ルーサー・キング通り」が作られることにもなりました。

さて、今年は同日にアメリカ合衆国大統領就任式も行われます。なんだか、落ち着かない1日になりそうです。

アメリカ祝日・イベント
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